何故インサイドセールスが必要なのか?
インサイドセールスのメリット/デメリット
営業戦術を構築する上でますます注目を集めているのが、営業の分業化です。
営業のプロセスを簡略化すると下記のようになります。
「見込み客の探索」→「アポイント」→「アプローチ」→「ファクトファインディング」→「提案」→「クロージング」→「受注」→「アフターフォロー」
この営業プロセスをインサイド(企業内)とオンサイト(顧客訪問)に分けて別々の人が行います。
従来は、営業マンがすべてのプロセスを一人で行っていました。
何故営業の分業化は注目を集めているのでしょうか?
【製品/サービスの限界利益の低下】
ITの発達がもたらした最大のメリットは利便性です。
消費者は、かつては足を運ばないと得れなかった情報を、簡単にWEBで得る事が出来ます。
比較サイトを見れば、価格、性能、サービスを簡単に把握出来ます。
では、ITの発達がもたらしている営業面から見た最大の敵は何でしょうか?
それは、情報の非対称性がなくなった事だと考えます。
情報の格差がなくなればなくなるほど、価格(売値)に影響を与えます。
価格コントロールの権利が消費者に移れば、限界利益が下がります。
限界利益が下がれば、販売にかかる固定費(営業マンの人件費や広告費、販促費など)を減らす必要性が出てきます。
【WEB広告の台頭】
ITの発達に伴い、急成長したのがWEB広告です。
テレビやラジオ、新聞等の広告売上は減少していく中、WEB広告に力を入れる企業が増えてきました。
消費者は利便性を求めて、WEB上で行動します。
企業も我先にと、顧客の囲い込みの為に、広告費用を投入しました。
限界利益が下がっている中で、WEBの販管費はますます必要になります。
結局は、コントロールの難しい営業マンに投入する費用はどんどん減らされます。
【営業コストを下げる為には?】
企業は営業マンにかかるコストを下げる必要性があります。
方法は以下になります。
➀営業マンの人件費を削減する
⓶営業マンの間接費(交通費、接待交際費等)を削減する
⓷営業マンの生産性を上げる(商談の質の向上、時間管理)
➀、⓶については、コストの削減と営業マンのモチベーションがトレードオフになってしまいます。
⓷に関しては、上手くいけば効果的ですが、機能するまでに時間がかかります。
営業マン個人に対する解決策では、営業コストを削減する事は容易ではありません。
【営業の分業化】
そこで登場するのが営業の分業化です。
営業の分業化の主な方法は以下の3つになります。
➀チャネル販売
⓶専門業者へのアウトソーシング
⓷インサイドセールス部門の設立(企業内)
ここで出てくるのがインサイドセールスです。
インサイドセールスの定義は、企業内で行うセールス活動になります。
(テレマーケティングやDM、メール配信などの活動)
何故インサイドセールスの活用によって営業コストが削減されるのでしょうか?
これは、営業の現場をイメージすれば非常に簡単です。
分かりやすい例は、1日にコンタクト出来る企業数が圧倒的に多い事です。
そして、交通費や宿泊費がかかる遠方の顧客に対しても、コストをかけずにコンタクト出来ます。
しかし、このような反論が聞こえてくるのではないでしょうか?
「お客先に訪問しなければ、受注なんて出来ないよ!」
まさに、これこそがインサイドセールスのデメリットです。
【インサイドセールスのメリット/デメリット」
インサイドセールスのデメリットを解決する為には、アポイントに対する考え方を変える必要があります。
従来は、アポイントを獲得する事が目的でした。
しかし、これでは、本来行わないといけない営業コストの削減にはつながりません。
インサイドセールスの目的は、質の高いアポイントを取得し続ける仕組み化だと定義します。
インサイドセールスによる質の高いアポイントの獲得が可能になれば、「1日コンタクトできる企業数」や「遠隔地へのアプローチ」によるメリットを享受できます。
この目的を達成出来ないと、インサイドセールスの活用による営業コストの削減は実現しません。
因みに、質の高いアポイントの獲得なんて可能なのか?と疑問を抱く方もいるのはないでしょうか?
ITの発達によって、この部分はかなり出来るようになったと考えます。
(ITの発達によるメリットが発揮されるこの図式はなかなか興味深いと思います。)
しかし、目的を変える事によって新たに出てくるデメリットがあります。
それが、インサイド部門とオンサイト部門のコンフリクトです。
簡単に言うと、顧客訪問をしている営業マンは「アポイントが悪い」と不満を言い、インサイド部隊は、「営業マンの能力が足りない」と不満を言います。
これが、インサイドセールスの最大のデメリットだと考えます。
このデメリットを解消する事が、企業の営業組織力に求められます。
今回は、インサイドセールスのメリット/デメリットをテーマにしながら、営業部門に起こっている現状を分析してみました。
また、最初の図は、主なインサイドセールスのプロセスを図解したものです。
参考にして頂ければ幸いです。